【黒煙】エンジン整備の前に見るべき2つのポイント

船のエンジンの排気管から黒煙が出て困っている、原因がわからない、どうしたら黒煙が出なくなるのか知りたい。

そんな疑問に答えます。

10年以上船舶機関士をしていると「原因は大体こんな感じでは」というのが分かってきました。

そこで今回は黒煙が出る原因や対処法を解説します。

目次

黒煙が出る理由

結論、エンジンに負荷がかかっています。

負荷がかかるという事は燃料が大量に燃焼室に入り燃焼不良により炭化物が多く発生しているという事です。

特に黒煙が大量に出るのは過負荷の疑いが高いです。

始動のために燃料が多めに燃焼室に入るエンジン始動時やエンジンを一気に吹かして余分な燃料が燃焼室に入った時も同じ理屈で黒煙がでます。

もちろん厳密に言えばもっと専門的な原因や知識、言葉などがあると思いますが、機械が壊れている事は案外、少ないんです。たま〜に取り返しのつかない大惨事という事もありますが大概ちょっとした事が原因の場合が多いです。

とりあえずエンジンに負荷がかかると排気管から黒煙が出ます。

基本的にはディーゼルエンジン、しかも低質油になればなるほど排気管から黒煙が出る確率が上がります。

低質油とはA重油やC重油の事で良質から順に軽油→A重油→C重油となります。

黒煙は良くない!?

黒煙は良く無いです。

エンジンにも良くありませんが、もちろん環境にも良くありません。(船舶の排ガス規制についてはまたの機会に)

黒煙が大量=過負荷なのでエンジンに良くないです。なぜなら過負荷時のエンジンはその負荷に対応するためより多くの燃料を燃焼室に送り込み、必要以上の爆発が発生すれば燃焼室内圧力が上昇してピストンリングがシリンダライナを押す力が増して磨耗が大きくなるからです。

そのまま使用して仮にブローバイが発生すれば

  • クランク室の潤滑油の汚損
  • ピストンリング、ライナ間の油膜破壊による焼き付き
  • クランク室内温度上昇による爆発
  • 圧縮圧低下による燃焼不良

などにつながります。

なので黒煙は良くありません。

黒煙が出る時に見るべきポイント

  • 船底が汚れている
  • エンジンや機構が壊れている

2つあげましたが、とにかく船底周りを点検しましょう。

毎回エンジン整備をしていては莫大なコストがかかってしまいます。正直、エンジンや機構はそう簡単には壊れません。

なのでとにかく船底回りの点検を行いましょう。

船底点検掃除

  • 船底の汚れ、貝の付着
  • プロペラの汚れ、貝の付着、ロープ等の巻き込み、損傷曲がり、翼角不良)

を確認してみましょう。

実は一番多いのはこの2つです。単純に貝がびっしり着いている場合が多いんです。

「どうも最近黒煙が出るな」と思ったらまず初めに上記二点を確認し、汚れていれば貝や藻などの汚れをスクレッパーや高圧清水洗浄などで除去し、必要に応じて船底やプロペラを塗装しましょう。

プロペラも損傷している場合は交換や修理が必要になります。

排気温度が高くなってきた時も同様です。

船底掃除の手間やコストを考えると使用後は即上架する事がとても有効です。常に上架できる環境が整っているのが理想的です。

船体が綺麗でも黒煙が出る時は・・・

エンジンの点検整備

最後の手段でエンジンの点検整備となります。

なぜエンジンの点検整備が最後なのかというと、実際エンジンはそんなに壊れないからです。

もちろん定期的な開放整備や日々のメンテナンスを怠ったり、自分で悪戯して調整を変えてしまえば調子が悪くなる事もありますが、船舶は定期的な検査もあり、一般的な使用方法で運用されているエンジンが突然訳のわからない壊れ方をする事はほぼありません。

なので、最後の手段なのです。

操船も穏やかで船底とペラも綺麗なのに黒煙が出るのであれば次に挙げるような整備が必要です。

  • 燃料噴射ポンプやガバナの調整
  • 燃料噴射弁の開放点検整備及び噴射圧力調整
  • 場合によってはシリンダヘッド開放関係諸弁点検掃除
  • 場合によってはピストン抜き出し及びピストンリング全数交換
  • 各部計測

等を検討してみて下さい。

まとめ

急な増速や無理な高回転を控えればかなりの確率で黒煙を抑止できます。かかる負荷に応じて燃料を突っ込むわけですから、緩やかな増減速を心掛ければ黒煙どころかエンジンの延命にも繋がります。

  1. エンジンの使い方
  2. 船底、ペラの汚れ
  3. エンジンの点検整備

この順に点検してみてはいかがでしょうか?

エンジン整備となれば部品も工賃も高額になりがちです。

まずは船底周りを確認する事をおすすめします。

ちなみに潤滑油が混ざると青白い排気、水分が混ざると白い排気になります。

最後までご覧いただきありがとうございました。

おしまい

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