【船舶のエンジン】大きさや種類、馬力をご紹介。主機と補機の違いとは?

機関室

船と言っても大きさはピンキリですが、一般商船として物流で使用されている船はどんなエンジンで動いているかご存知ですか?

実は、この記事で紹介するディーゼルエンジンが使われている事が殆どなんです。

なぜなら私が今まで乗船してきた船は全てティーゼルエンジンだったからです。

この記事では陸上のトラックに比べると比にならないほど巨大な船体をどのようなエンジンが動かしているのかを経験を元にご紹介します。

この記事を読み終えると今後船に乗船した時何がその船を動かしているのかわかるようになります。

広告

目次

エンジンの種類

主機(上段)

船のエンジンは主にプロペラ(スクリュー)を回して推進力を得る【主機(メーンエンジン、M/E)】と船内の電気を賄う発電機原動機、通称【補機(ディーゼルジェネレーター、D/G)】に分かれます。

今回は船を動かす主機について説明します。

エンジンにはエンジン本体内で燃焼エネルギーを発生させて動力を生み出す内燃機関と外部で燃焼エネルギーを発生させて動力を生み出す外燃機関があります。

船もそうですが、車やバイクなど実際に身の回りで使われているエンジンのほとんどが内燃機関です。

ディーゼルエンジンとガソリンエンジン

内燃機関の中に陸上でもたまに?耳にするディーゼルエンジンとガソリンエンジンと言うものがあります。

ザックリ説明すると、どちらのエンジンも密閉された燃焼室内において、燃料を爆発燃焼させて爆発圧力によりピストンを押し出し、その往復運動をクランク軸を介して回転運動に変換すると言う仕組みですが、この燃料を爆発燃焼させるときに点火源が必要ないのがディーゼルエンジンです。そして点火源つまり点火プラグが必要なのがガソリンエンジンです。

ディーゼルエンジンは点火源は要らないよ

ガソリンエンジンは点火源が無いと着火しないよ

ではディーゼルエンジンはどのように着火させているのかと言うと

ディーゼルエンジンは密閉された燃焼室内でピストンが押し縮めて高温になった空気へ霧状の燃料を噴射する事で着火し爆発燃焼が発生します。

点火をプラグに左右されるガソリンエンジンに比べてディーゼルエンジンはギリギリまで圧縮出来るので圧縮圧力を高くする事が出来ます。

圧縮圧力が高いほど熱効率が良いとされる内燃機関の中で一番優れているのがこのディーゼルエンジンと言われています。

熱効率が良い=パワフルで燃費も良い

と言う事で

船では主にディーゼルエンジンが使われています。陸上のトラックや重機もその殆どがディーゼルエンジンですがこれと同じ理由です。燃料も軽油やA重油・C重油など、低質油が使えるのもありがたいですね!

2サイクルエンジンと4サイクルエンジン

続いて最近耳にする機会が減ったかもしれない2サイクルエンジンと今でも主力の4サイクルエンジンについてです。呼び方はいくつかありますが2・4サイクルも2・4ストも2・4ストロークも同じです。2と4だけ間違わなければOKです。ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの両方にあります。

ディーゼルエンジンとガソリンエンジンで説明した爆発燃焼でピストンを押し出して往復運動を回転運動に変換して出力するエンジンをレシプロエンジン・ピストンエンジンと言いますが、

レシプロエンジン吸気→圧縮→膨張→排気を繰り返して絶えず往復運動を回転運動へ変換しています。

この四行程クランク軸が何回転する間に終えるのか、と言う事です。

2サイクルエンジン

クランク軸1回転つまりピストン1往復で吸気→圧縮→膨張→排気の四行程を全て終わらせピストンが毎回上昇(上死点)する度に爆発燃焼します。

4サイクルエンジン

クランク軸2回転つまりピストン2往復で吸気→圧縮→膨張→排気の四行程を全て終わらせピストンが2回上昇(上死点)する内の1回だけ爆発燃焼します。

原付をいじり倒していた方は馴染みあると思いますが、2ストは爆発燃焼回数が多いので高出力の大馬力を誇り、その代わりに燃費が悪いと言う事ですね。それ故環境にもあまり宜しくないので減っていったのでしょう。

船の主機ではどうかと言うとスペースが広く1気筒当たりの燃焼面積を増やす為にエンジンを縦に長く出来る外航船は2サイクル機関が多く、私が乗船していたような内航船ではほぼ4サイクルエンジンでした。

主機の種類

主機(下段)

主機にも種類がたくさんあります。私が乗船した船は4サイクルディーゼルエンジンばかりでしたが船によって様々です。

機関の種類
  • ディーゼルエンジン・・・・一般的。
  • ガソリンエンジン・・・・・プレジャーボートなど。
  • 蒸気タービンエンジン・・・外航船。原子力船など。
  • ガスタービンエンジン・・・ジェットフォイルなど。
  • 電気推進・・・・・・・・・大型客船など。発電機による電力使用
  • その他
ガスタービン
広告

主機の出力(kw・ps)

補機

エンジンの出力は馬力(ps)ではなくkwで表記します。

船の大きさ、出したい速力によって様々ですのでこちらも乗船経験のある船の大きさとエンジンの出力を紹介します。

・総トン数6,200トン:練習船・・・・・・・・・・6,600kw(8,980ps)×1基

・総トン数3,700トン:6,000K積みタンカー・・3,309kw(4,500ps)×1基

・総トン数3,000トン:5,000K積みタンカー・・2,942kw(4,000ps)×1基

・総トン数240トン:押船 ・・・・・・・・・・・・1,471kw(2,000ps)×2基

・総トン数100トン:旅客船 ・・・・・・・・・・・  423kw  (575ps)×2基

ちなみに私が乗船した船の主機メーカーは下記の通りでした。

エンジンメーカー

乗用車の出力がおおよそ220kw(300ps)だとするとかなり大きいエンジンを搭載している事がわかります。

私の乗船経験のない貨客船やRORO船、大型フェリーなどは総トン数が大きく、スピードが必要になる事からさらにこの何倍もの出力を誇るエンジンを搭載しています。

ここに記載したエンジンより大きな出力になると、2サイクルエンジンであったり、同じ4サイクルエンジンでもV型になったり、それをさらに2基搭載して2基2軸にしたりと船に合わせて選定されます。

船を動かす【エンジン】を紹介。まとめ

数字だけ聞いてもあまり大きさはピンとこないかもしれませんがなんとなくデカい、と言う事は伝わりましたか?6000k積みタンカーの主機あたりから平気で人がエンジン内に入れる程の大きさになります。あくまでも経験に基づく範囲ですが参考になれば嬉しいです。

3309Kw(4500馬力)主機のピストン

大型ディーゼルエンジンの冷却水についてはこちら>>

おしまい

広告

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA